氷上のデブ

思いついた、試した、いつまで続くか分からない。

急ぐ時ほどスローにする心がけ

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 今朝オカンのお供で郵便局へ行った。
 私がババアなんだからオカンはもういいお年寄りだ。だから、出先で文字を書くのはとても苦手になってしまったらしく、郵便局で字を書かねばならない場面が出てくるから「字書き要員」として私が出動したという訳だ。
 郵便局で書留の封筒を買い、その宛名・差出人を書く作業をしたのだが。
 その時オカンが横で見ていて「なんでそんなスローモーなん? なんでそんなに遅いん?」としきりに言う。黙れ、おのれスロー以下やないか!

 そうだ。
 私は結構スローモーである。スローモーって、古い言葉かもしれないので意味を書いておくが、「スローモーション」の略である。スローモーションというよりは、動作がゆっくりな人の事を指して使う事が多いのではないかと思うが、どうだろう。
 ま、とにかく私はある時からちょっとスローモーになった。
 それはまだ自分の脳みその色んな事が分かる前に始まる。
 まだ仕事をしていた頃だったので、毎朝急いで身支度をしていたが、その時気付いた。急いでいるから動作を速くするとものを取り落としたり化粧など失敗したりする(マスカラが瞼についてしまって消したらアイシャドウが十円ハゲみたいな取れ方したとか)。そうすると落としたものを拾ったり、落とした拍子に外れた本体とキャップを探したり(ベッドの下に転がり込んだりしたら最悪である)、十円ハゲアイシャドウを直そうとして傷を広げ、瞼全体やり直したりひどい場合クレンジングしてイチからやり直したり……時間が余計にかかってしまう事がとても多い。
 急いで素早く動いて速く進める人もいるとは思う。
 が、私はそうではない。どん臭いのだ。どん臭い人が急ぐと、本来の倍の時間がかかってしまう結果になる事がわりとある。
 それに気付いた時、私は「急ぐ時ほどゆっくり動こう」って決めたのだ。
 それはかなり上手くいったし、今もそうしている。焦り出したらちょっと、動作をゆっくりにしてみる。周りの人が「え?」ってなっても、そこで急いだらゆっくりするのの倍時間がかかる確率がぐんと上がるのだから。
 今朝の郵便局に戻ると、書留の封筒を購入して宛先などを書いている。ボールペンで書いている。失敗したらこれ、封筒ワヤやんってなるでしょ。間違ったとこ二重線で消すとか、ちょっと、差出人のとこならまだしも宛先はまずい。
 だから、私はゆっくり書いた。外だからか、隣でオカンが口出しするからか、難しくもない漢字が二文字ゲシュタルト崩壊してしまい、オカンのメモを見て書く事ができず、スマホの辞書から漢字を出して書いたりしていた(活字を見ると脳が落ち着くわ~)。オカンは「なんでや!! なんでそんな字が書けへんのや! アホか」とか言っていたが、そもそも文字そのものが書けないから私を連れてきた事は忘れているのだ。お年寄りとはこういう生き物であるからまぁ仕方ない。我らはこういうコンビなのだ。
 「急ぐ時ほどスローに」って心がけを始めた頃から十年近くたって、自分がASDであるという事が分かり、これはいい心がけだったと自画自賛した(心の中で)。
 とにかくパニックになりやすい。混乱しやすい。情報処理が「普通」の人より難しいというのか、ちょっと、なんだろう、古いパソコンみたいなもので、ややこしい事になるとフリーズするみたいなね、そういう感じ。
 だから、ゆっくりやる事にしている。なんなら紙に書いて整理したりして。そうよ、昔パソコンはよくフリーズしてしまったものだけど、あの時もフリーズしそうな手前で触らずに待つと持ちこたえる事あったものね。
 低スペックパソコンなのか……。言葉から受ける印象は悪いけど、言い得て妙とも言える。ゆっくりやれば処理できるんだから。処理不可能なソフトもあるってとこも!
 落としそうなもの、こぼしそうなコップ、つまづきそうな段差、滑って転びそうな路面……察知するとすぐ、私はゆっくり動く。これらの全て、どう考えてもさっとやって失敗するより「のろま」と言われても失敗せずにやりすごせたほうがよいもんね。