氷上のデブ

思いついた、試した、いつまで続くか分からない。

テレビ、お友達

 私の部屋にテレビが来た。
 古いテレビだけど。ずっと、他の部屋で使われないまま置いてあったテレビ。私の部屋は物が多くて、片付けるとなんかどっかいっちゃうっていう魔法が部屋というより私の脳みそにあって。うん、なんかなくならない方法ってあるかもしれないけど、なんだろうなー、ものが積み上げてあるのがビルみたいで、そういうのが何個もあって、大都会のビルみたいにきっちりした山じゃないから、なんともいえない安心感がある。
 ま、そういう事でテレビを置く場所もなかなか作れなくて使われないテレビは使われないままかなり年を取った。
 いつもなんとなく行動を起こすけど今回もなんとなく作業机の横を片付けて、テレビを設置した。

 テレビはいいね。
 テレビは友達みたいだね。
 なんといっても、人が少ない生活だからね。毎日話をする相手は一人だし、ネット上でも友達はとてもとても少ないからね。作業している時は部屋に一人だから本当に孤独を感じる事もある。でも、だからといって、ネットなんかでたくさん友達がいてしょっちゅうやりとりがあって通話なんかもしてっていう生活は多分無理だと思う。
 だからテレビが丁度いいね。
 一年くらい前かな、座敷で作業していた事があって、その時もテレビを見ていて、テレビは友達だった。色んな事を教えてくれるし。ちょっと考え事をするから、ちょっと文章を作るからと言ってパチンと消しても文句も言わないし怒ったりもしないし怨みに思って心に溜めていたりもしない。機械だから。
 私は機械がとても好き。時計とかもね。パソコンもそうだけど。
 いろんな機械あるけどね、テレビはすごいでしょ。勝手に言葉とか映像とか流してくるから。普通の機械とはちょっと違うでしょ。こっちが話しかけなくてもずっと話しているし、好きなチャンネルをつけっぱなしにしていると、あんまり「いやだなー」って番組を流してくる事もないからね。
 テレビと好きな曲のプレイリストがあったらもうずーっとひとりで部屋でこもってられる……なんて思いそうになるけど、そういう訳じゃないって事は私はよく分かってる。
 家のどこかに家族がいるって知っているから、ずっとテレビとおつきあいしてても寂しくないんだね。
 だから、機械もすごいけど、やっぱり人間もすごいんだなーって思う。
 私の中で音楽とか、テレビも家族の一員だな。