氷上のデブ

思いついた、試した、いつまで続くか分からない。

『カササギ殺人事件』『死のドレスを花婿に』を読んだ。

 ブクログってやつをやってるんだけど。読書に関するあれこれを登録、整理などできる。シェアもできる。
 そこで読んだ本の感想をかいたもので、こちらにも読書感想文を書いておこうと思った。

カササギ殺人事件

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 リンクは広告ではなく、単純な?ブクログへのリンク。
 これは上下巻に分かれている。
 私は海外のミステリーがとても好きだが、これまでどちらかというと「人間を掘り下げている」タイプのものを多く読んだ。謎解きと両立しているのが一番いいんだけどね、どっちかに重きを置かれる感じになっている事が多いよね。
 私はいわゆる「雑食」タイプなので、いろんなジャンルを読むし、ミステリーも謎解き重視タイプも好きだ。
 『カササギ殺人事件』は名前からもイメージわくと思う、謎解きタイプ。
 そしてこれは構成がユニークだ。
 まず、ミステリー本の編集者が『カササギ殺人事件』の原稿を読むところから始まり、それからこの作品の中へ読者は放り込まれる。
 この『カササギ殺人事件』が面白い。
 村で起こる事故、もしかして殺人かも?って事故、そして続いて起こる殺人。
 村人たちの裏の顔が描かれてゆき、読者の疑念は村全体に散らばる。
 いよいよ探偵が謎解きをしますよという時、下巻へ突入し、読者は「現実」へ引き戻される。でも、その「現実」でも、編集者の周りに不可解な事が起こって、もう一つの話が展開していく。
 下巻は上巻の『カササギ殺人事件』に比べるとトーンダウンしたかもしれないし、私個人の感覚としては、ラストで少し首をかしげる感じもあるけれど、ホント、感覚の違い、好みの違いだろう。
 それがあっても十分に面白いミステリーだったと思う。「ミステリー大好き!」って方にはおススメできる作品だと思った。

死のドレスを花婿に

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 タイトルに「ドレス」っていったら思い浮かぶのはウェディングドレスだろうし、実際そうなんだけど、これが「花嫁」でなく「花婿」に向けられている。
 作者ピエール・ルメートルの作品は「カミーユ・ウェルーヴェン警部シリーズ」を読んでいたので、この人の話は絶対面白いぞと思いつつ読み始めた。
 はじめ、「??」って思いながら読み、その後の展開で「ああ、そういう事ね」と納得したはいいけどあまりの胸くそ悪さに「ルメートルの作品じゃなかったらここでやめてしまうかもしれない」と思ったほどだった。でも、更なる展開でこの「すさまじい胸くそ悪さ」が爽快感に変わった。50打席連続ノーヒットだった贔屓の選手がホームラン打ったみたいなね(?)。
 しかしながらやはり、ラストでは「やっぱり単純に『成敗!』ってすっきりできるような構造になってないな、人の心って」と思った。
 それにしても、ルメートル氏の描写は上手い。とても上手い。上手いっていうか、好みに合うといった方が正確かもしれない。訳が少しついていかなかったのか、ささくれだってるところがあったりしたけど、それでもこの純文学的な地の文、私はとても好きだ。