氷上のデブ

思いついた、試した、いつまで続くか分からない。

『浴室には誰もいない』を読んだ

 コリン・ワトスン 著、創元推理文庫。

 英国ミステリだよ!
 と、英国ミステリ好きな人に手をふって呼び集めたいところだけれど、ちょっと個性があり、そこが合わない人は読み進めるのに時間がかかるかもしれない。
 読んでいると、随所にギャグ(ユーモアと言いたまえ)や皮肉がちりばめられている。これが「えっ?」みたいになるタイプの人はスムーズに読み進められなくてちょっと苛々する事があるかもしれない。
 この細かい所に散らばったユーモアや皮肉は物語全体をも包んでいる、そんな気がして、そこがこの作品の魅力でもある。
 謎解きに関しては「ええええ!?」という程には意外なことはないんだけれど、登場人物がなんやかやしながら玉ねぎの皮を一枚ずつ剥いていくような流れを見ながらこの作品の雰囲気を味わいつつ、ベルトコンベヤーの上に寝そべって結末へ運ばれていくような読書体験だった。

 読み終えて放置していた本もこれですべてなくなった。今読んでいるのは4巻まであるからしばらく読書感想文もお休みになりそうだ。